2024年1月にスタートした「いたPayさんぽ」。気づけば、このたび連載第100回を迎えました。板橋のまちを歩き、カメラを構え、言葉を交わす。その繰り返しの中で、100人以上の“まちの顔”と出会ってきました。商店街の少し奥まった路地。自転車が行き交う坂道。慣れ親しんだ街なのに、取材をきっかけに初めて足を踏み入れた場所もたくさんありました。このコラムは、単なるお店紹介ではありません。板橋というまちで、今日も変わらず店を開け、誰かを迎え入れている「人」の記録。今回は連載第100回を記念して、いたPayさんぽのこれまでの歩みを、のんびりと振り返ります。「板橋への愛がたっぷり詰まった、人とまちをつなぐコラムをつくりたい」それが、「いたPayさんぽ」が生まれた一番最初の想いでした。新しいお店、長く続くお店、世代交代を迎えたお店。そこには必ず、“このまちで生きてきた時間”があります。商品やメニューの魅力だけでなく、その背景にある物語や、店主さんの声、表情、言葉にならない空気まで届けたい。そんな気持ちで、毎回一軒一軒、扉を開けてきました。地域通貨は、使われてこそ意味があるもの。でもその前に、「知る」こと、「親しむ」ことがあっていい。このコラムが、「知る → 会いに行く → 使ってみる」そんな一歩のきっかけになれたらと、板橋を歩き続けています。取材は、1店舗につきおよそ90分。決して短くはない時間を、店主さんと向き合って過ごします。最初は少し緊張した空気が流れることも。でも、お店の成り立ちや、昔の板橋の話、好きなこと、苦労したことを聞いていくうちに、ふっと表情がやわらぐ瞬間があります。『縁が集う肉屋』(新井精肉店 新井真之さん)「こんなに、僕自身のことを話すとは思わなかったですよ(笑)」「普段は忙しくて、改めて考えたことなかったな」そんな言葉を聞くたびに、この時間そのものが、取材以上の意味を持っているように感じます。お店の話を聞いているはずなのに、いつの間にか、その人自身の人生の一部に触れている。それが、「いたPayさんぽ」の取材です。顔出しの写真撮影も、その延長線上にあります。文章だけでは伝えきれない、声のトーンや笑顔の温度を、そっと残したいから。あるお店では、最初は少し構えていた店主さんが、お喋りしているうちに、昔の写真を奥から持ってきてくれたことがありました。「これ、若い頃なんだけどさ」そう言って照れ笑いしながら語ってくれたエピソードは、今のお店につながる、大切な“始まりの話”でした。『ワクワクする場所を作りたい』(TOKIWADAI- BASE 渡邉幸典さん)そして、取材が終わるころには、「またいつでも遊びにきてくださいね」と、笑顔でお見送りしてくれる。そんな瞬間が、これまで何度もありました。取材を終えてお店を出たあと、振り返ると、まだこちらを見て手を振ってくれている。その光景がうれしくて、なんだかくすぐったくて。後日、別の取材帰りにふらりと顔を出すのも、今では取材班の楽しみになっています。『お茶のおいしさを未来に』(山城園 永見久美子さん、酒巻まささん)「いたPayさんぽ」は、特別な人だけを取り上げる企画ではありません。日常の中に当たり前にあるお店と、そこを営む人たち。その“今”を切り取り、「ここに、確かに生きている人がいた」そんな記録として、さりげなく残っていく存在でありたいと思っています。このコラムを読んで、「あのお店、行ってみようかな」そう思ってもらえたら、そして実際に足を運んでもらえたら。これからも、「いたPayさんぽ」は続きます。